ビクセン極軸望遠鏡(1990年)の歳差補正

極軸望遠鏡(1990年用スケール)の調整に関して思いついたことを書きます。

ビクセンの極軸望遠鏡の調整は、

スケールの中心を赤道儀の回転の軸と一致させる作業と、

スケールを北極星が南中する位置、つまり真下にして(下図)、

このとき目盛環が北極星が南中する日時の10月10日1時10分を示すように設定する作業、とに分けられます。

極軸望遠鏡調整

問題は後者の作業で、これを説明書通りにやると、

1990年の時点では円の中心に北極星を導入すればよかったんですが、

歳差による北極星の移動によって、2011年現在では下図のように円から外れたところに入れる必要があります。

説明書でもこのように補正するよう書かれています。

歳差補正

これだと、北極星を導入する位置目標が分かりにくいので、解決策を考えました。

それは、最初の調整で北極星の南中時刻を1990年のものではなく、

現在のものに設定する、という方法です。

具体的には、2011年だと10月10日1時30分です。(東経135度において)

こうすると、歳差による北極星の動きの赤経方向が補正され、

赤緯方向、つまりスケール中心方向のみ補正すればよくなります。

2011年現在において、北極星は天の北極から約41’離れていますから、

導入する位置は下のようになります。

歳差補正

線の上になって位置が明確になりました。

南中時刻設定は10月10日1時のままにして、

観測地の経度を本来よりW側に5°ずらす(東経を-5°)、

あるいは観測時刻を-20分とする、など等価な補正法はいくつかあります。

これで古いスケールを少しは快適に使えるんじゃないかなぁと思ってます。

最新のビクセンのスケールは優れていて、歳差による北極星の移動に沿って目盛がふってあり、

何も考えずにその年の位置に導入すれば歳差補正ができるようになっています。

でも目盛が2025年までなので、どうせならもっと伸ばしてくれてもいいのにな、とは思います。

2800年くらいまでなら入りそうなんですがね…。

しかしこれ以降、極軸望遠鏡の視界に北極星が入らなくなったらどうするんでしょうか。

ちょっと心配しています。

スケールの大きい話になりましたね。スケールだけに。