天文部の機材を考える

いろいろあって、私の好きな機材を選んで買っていいという話になりまして、

1年前から検討していたのですが、とうとう導入までこぎつけました。

現在から将来にわたって、このサークルにとって有益なものは何なのか、

それを考えた結果、TSA-102に決めました。

理由は…長いです。

現在、ALTER-5N、R200SSが主力となっているのですが、

どちもあまり高すぎない価格で良い性能を持った望遠鏡だと思います。

しかし、天文部(天文サークル)というのは毎年部員が入れ替わって、

しかも中には初心者が多いわけで、個人で所有する機材とはまた違った基準で選択する必要があります。

私が思う基本的な条件は、

・日本製

・壊れにくい

・多機能でない

・仕組みが簡単

・電子部品が少ない

・重くない

・大きくない

・後ろから覗くもの

つまり、丈夫で修理が容易で扱いやすいということに尽きます。

さらに、多機能で複雑なものは、壊したり部品を無くしたりでろくなことになりません。

正しい使用法を伝えていくのも難しいと思います。

その点を考えると、ALTERは全く適しません。

最後の「後ろから覗くもの」というのは鏡筒に関してなんですが、

屈折や、カセグレンのようなものを指します。

横から覗くか、後ろから覗くか、は初心者にとってかなり親しみやすさが違います。

これは高校の天文部の顧問がよく言ってました。

ニュートン反射は横から覗くタイプですが、見る天体の位置によって接眼部の高さがかなり変わります。

場合によっては鏡筒を回転させたりします。

というわけでR200SSも適しません。

ただ、ニュートン反射を除外すると他に手ごろな大口径の選択肢がなくなってしまうので、

仕方が無い部分もあると思います。

特にR200SSを所有しているサークルは多いようです。

R200SSは高校天文部、大学天文研両方にありましたが、

それを載せる架台によってもだいぶ使い勝手が違ってくるようです。

高校ではGPに乗っていて、もっと頑丈な赤道儀に載ってたらなぁ、と思ってました。

問題なのは大学の天文研で、R200SSがSX赤道儀に載っています。

つまり自動導入機です。

自動導入の赤道儀だけでも、私の考える条件からすると問題外なんですが、

これとニュートンの組み合わせは最悪でした。

これでは望遠鏡を使おうと思う人は限られてしまいます。

私は自動導入は使って欲しくないと思っています。

別に機械に頼るな、ということではなく、

土星1つ見るためだけに、アライメントを何十分もかけてやっているという現状を見ると、

そう思わずにはいられません。

しかし、導入が難しい星雲星団を見るためには必要でしょう。

もともと、SX赤道儀購入の目的はそれでした。

ただ、”初心者でも簡単に”星雲星団を見られるようになる、という目論見は現実となりませんでした。

TSA-102の導入によって、この状況を少しは改善してくれると期待しています。

SX赤道儀屈折望遠鏡であるTSAとの組み合わせは、

ニュートン反射との組み合わせよりはるかに使いやすいでしょう。

鏡筒を回転させたり、ファインダーを覗くのに無理な姿勢をとる必要は無いのですから。

もう1つ、こちらは確実な利点です。

天文研の天体観望は部室から機材を出して1~2時間で撤収します。

22時に施錠される建物に機材を戻すためです。

感の良い人はお分かりだと思いますが、反射2機種をほとんど温度順応をしていない状態で見ています。

この条件だと、1番よく見える鏡筒がTSA-102になることは確実です。

つまり現状の天文研の活動状況に非常に合っている機材、ということになります。

望遠鏡がみんなのものになることを願っています。